第4章 新しいPTA運動の発展を目指して
第4章 新しいPTA運動の発展を目指して

【第5節 日本PTA全国協議会の新しい取り組み】子供の実態把握と教育改革への取り組み

1. 子供の実態把握と教育改革への取り組み

(1)調査研究事業

日本PTA全国協議会は、子供の実態を把握し、積極的に教育改革の一翼を担うことを目指して、各種の調査とそれに基づく具体的な改革提言を行っている。

学校週5日制の実態に対する親の意識については平成2年、3年、4年、5年に、また、子供の生活実態・意識については平成6、8、10年に調査を行った。

また、子供の社会環境意識を平成9年に、 学校給食については平成7年、8年と、 学習塾についても平成6年、9年と調査し、 さらに、教育改革に対する親の意識について、またPTAの在り方についてもそれぞれ平成7年に調査している。

最近では、テレビメディアの実態についての子供と親の意識を、平成7年、8年、9年と続けて調査している。

これからは、全国の子供の実態と問題点を明らかにするとともに、親たちに子供の健康な育成についての関心を改めて高め、考える材料を提供することになっている。
さらに、これらを通じて、親の願いや要望を集約し、一つの世論としてまとめ上げ、親の立場からの教育改革参画への道となっていると評価できる。

(2)行政等への働きかけ

(1)学校週5日制推進

平成3年3月に文部大臣、衆参文委員長あて
「学校5日制に関する意見について(提言)」を、
4 年9月には経済同友会、経団連、日経連、日本青年会議所あてに
「学校5日制に対する産業経済界のご支援・ご協力について(お願い)」を、
また同月、日教組、全日本教職員連盟あて
「学校5日制に伴う子供の学校外活動に対するご支援・ご協力について(お願い)」を、
同年11月には総務庁長官あてに
「学校5日制に対する国のご支援・ご協力について(お願い)」をそれぞれ提出し、
学校5日制への協力と支援を強く訴えかけている。

(2)サッカーくじ反対

最近では、サッカーくじ導入にかかる反対陳情の活動がある。
スポーツ振興を図る観点から、サッカーJリーグでの試合の勝敗予想に関しての賭けくじ事業が構想された。

日本PTA全国協議会では、サッカーくじが青少年に好ましくない影響を与えかねないとして、導入反対の態度を決め、平成6年5月、7年5月、8年3月・5月、9年5月・6月・9月と継続して政府、国会や国会議員、関係者に対し陳情活動を展開した。

「スポーツ振興投票の実施等に関する法律」の制定後も、平成9年8月、10年10月とコンビニエンスストアでのくじ販売を行わないようになどとの要請を行っている。

(3)Vチップへの対応

テレビ放送での有害番組をテレビ受像機に受信させない仕組みである「V‐チップ」の問題を含めて、平成9年2月、テレビ放送局に「テレビメディアの資質向上に関する要請書」を、文部大臣・公安委員会に「青少年の健全育成に障害を及ぼす営業の規制等に関する要請書」を、同名の要請書を郵政大臣・通産大臣・総務庁長官・自民党あてに提出している。

(4)PTAと行政の連絡協議会

新たに平成8年4月から、協議会は他のPTA4団体(高校・幼稚園)とともに、PTA・文部省連絡協議会に参加し、教育問題、PTA運動について行政と懇談、協議を行うようになった。 行政に対し、各種の調査研究事業の成果をもとに、教育課題について団体としての認識を示し、必要な事項を積極的に要請している。

今後、一層、公式、非公式を含めて、議会や行政、マスコミなどに対し、PTA団体の意向を積極的に伝えていくことが望まれる。

(5)審議会への参画

平成7年5月、日本PTA全国協議会としての中教審に初の委員を送ることとなり、当時の会長が中教審委員となった。
国の政策の審議・形成に直接組織的に関わることとなったもので意義が大きい。

平成8年11月には、教員養成について、教員養成審議会に対して教育実習期間の延長や生徒指導の重視などを提言するとともに、その後、教育課程審議会にも委員を送っている。
会としての主張を行政により大きく反映させることができることから、積極的な対応が望まれるところである。

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