第4章 新しいPTA運動の発展を目指して
第4章 新しいPTA運動の発展を目指して

第3節 新しい組織運営

(1)事務組織の整備

PTA の組織上の課題として、会員が特に、父母会員の場合、毎年6分の1になり、3分の1になりが入れ替わるということがある。
このため、経験やノウハウが十分蓄積されず、また、会としては事務的な能力も必ずしも高くないこともあって、機動的で効率的な活動が難しいという状況もある。

今後は父母の活動を支えるある程度恒常的な事務組織の整備も必要ではないかと考えられる。
嘱託であるいはボランティアにより、週何日か事務を執ってもらうことのできるような仕組みを考えることも必要ではないか。

(2)休日や夜間の会合・活動

役員や会員の都合に合わせて、平日の夜間や土日に会合などを開催するPTAがごく普通に見られるようになってきた。どこのPTAでも、誰もが参加しやすいようにこうした配慮がなされるべきであろう。

ただ、仕事の合間を縫ってPTA活動を行うというばかりでなく、理想的には、PTAの活動のために勤務を休むことは当然というような社会的な雰囲気、慣行が広がっていくことが望まれる。
将来的には、PTA活動のための休暇制度導入も課題となるであろう。

このほか、できるだけ多くの人に活動に参加してもらうために、組織、活動のスリム化を図ったり、一人一人の負担を軽くし、多くの人により多くの関心を持ってもらうために、全会員がいずれかの委員会に所属し、活動するというPTA「一人一役」制をとるなどの工夫をしているところもある。

(3)OB・OGや地域の人々の参加

PTA 会員は、必ずしも在学児童生徒の保護者に限られるべきものではなく、規約により構成員を広げることは可能である。

中教審の答申でも、学校のOB・OGや地域の有志等の参加や協力を得ることが望ましいとしている。
今のところ、現実的には、地域の人々を正規の会員としてではなく、特定の委員会のメンバーとして、あるいは賛助会員、準会員などとして、参加してもらう道を開くことが多いようである。
OB・OG や地域の人々のうち、子供会が推薦する人を「PTAサポーター」として、PTA活動の運営協力やPTAと地域とのパイプ役を果たしてもらっているところがある。 教育モニター「私書箱PTA」を設置し、学校や地域での子供のことで気の付いたことなどを、また、学校やPTAに対する要望・意見などを投書してもらうところもある。

そうして寄せられた意見等については、常任委員会において改善の方策などを検討するというシステムを持つところもある。
PTA が中心になり、地域の人々を「地域教育モニター」に委嘱し、挨拶・声掛け運動、連絡会、各種提言をしてもらっているケースもある。

(4)PTA の専用の部屋

PTA 活動を円滑に進めるためには、学校内にPTA専用のスペースを持つことが非常に重要である。
PTA 室については文部省の校舎施設費補助でも近年、補助対象として積算されるようになった。
余裕教室がある場合は、それを改修するなどして、どの学校でも整備する必要がある。 いつでも会員が自由に寄り集まれるようにしておくことが大切である。

PTA によっては、手作りのカーテン、テーブルクロスなどを用意し、明るい雰囲気を作り、コーヒー・お茶の用意をするなどして、会員のたまり場にしているところもある。
委員会の会議、活動、作業を行うとともに、文書や備品の管理などを行うことができる。

部屋の一角に、「制服リサイクル」のための専用コーナーを設けたり、リサイクル事業の拠点にしたりするなどして、活用・工夫しているところもある。

(5)父親の会

PTA 活動は、男女共同参画社会へ向けてのモデルともなるべき活動であり、父親の積極的な参加を促すことが必要である。
会員は女性ばかり、会長は男性ばかりでは良くない。
「父親の会」が最近、あちこちのPTAで設けられるようになってきている。
キャンプ、模擬店、スポーツなど「会」として活発な活動が行われるばかりでなく、PTA活動全体にも男性の参加をもたらすようになるなど効果が大きいようである。
組織、運営の活性化のキーになるであろう。

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