第4章 新しいPTA運動の発展を目指して
第4章 新しいPTA運動の発展を目指して

新しいPTA運動の発展を目指して

日本PTA全国協議会では、社団法人として組織態勢が整えられるに伴い、名実ともに公共・公益団体として、新たな多様な事業を展開するようになっていった。
同時に、臨教審への提言を契機に教育改革・子供の健全な育成に関して全国の父母を代表して、積極的に発言するようになってきた。
そのため、様々な教育上の課題について調査し、意見を集約し、行政当局に要望し、社会に問題を提起するようになった。
しかし、日本のPTA運動は、さらにこの数年、問題を検討し、関係当局に要請するばかりでなく、問題そのものの解決を目指して、様々な行動を実際に担うようになってきている。 たとえば、学校の課題について、PTAの立場から、学校教育そのものに協力するケースが出てきている。
学ぶだけの団体から、活動し責任を担う団体へと成長してきているといえる。

また、大きな社会変化のなかで、子供に対する教育が学校・家庭・地域社会でバランスのとれたものになる必要があるとして、家庭の教育機能の充実、地域社会の教育力の向上および学校と家庭・地域社会の連携協力の必要性が強く認識されるようになった。
そして、これらの課題に最も良く取り組むことのできるのがPTAであるとして、その活動の一層の充実が期待されるところとなっている。

これまで、日本のPTA運動は、ややもすると、各学校PTAのレベルでは、会員に主体性や自主性がなく、活発な活動は望み得ないのではないか、また、全国組織においても、巨大な団体でありながら、それに見合う大きな力が発揮できていないのではないかという批判が常に浴びせられてきたことは否めない。

しかし、最近になって、PTAの新しい可能性を期待させる動きが、各学校PTAにも中央・地方の協議会にも芽生えてきていることが感じられるようになってきている。

(中教審・生涯審のPTAへの期待)

平成8年の中央教育審議会答申では、「PTA活動の活性化への期待」として、「家庭や地域社会の教育力の低下が指摘されている今日、学校と家庭、さらには、地域社会を結ぶ懸け橋としてのPTA活動への期待は、ますます高いものになってきている」が、「活動の展開や充実が困難になっているのが現状と言わなければならない」とし、会合の夜間・休日での開催、OB・OGや地域の有志等の参加を得て、家庭と学校の連携協力した活動の実施、家庭教育に関する学習や地域の教育環境改善への取り組みの実施を提言している。

また、教員のPTA活動への理解、参加の促進、行政による積極的支援の推進を提唱する。
同年の生涯学習審議会答申でも「PTA活動の活性化」として、「PTA活動は男女共同参画社会へ向けてのモデルともなるべき活動」、「PTA活動への参加が保護者としてまた地域社会の構成員として当然のことであるとの認識が、企業を含め社会全体に拡がる必要がある。」とする。

その活動については、「会員自らがやりがいを感じられるような、自主的な事業に取り組むことが重要」とし、「組織的な活動ばかりでなく、個々の会員が各自の都合に合わせて柔軟に参加できるような多様な活動形態を工夫すること」などを提言している。

いずれの答申も、今日、子供を健康に育てるためには、家庭・学校・地域社会の実質的な連携・融合が不可欠であり、そのことを最も良く担うことのできるのがPTAであると認識し、PTAに対する期待がきわめて大きいことを表明している。

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