第4章 新しいPTA運動の発展を目指して
第4章 新しいPTA運動の発展を目指して

【第4節 学校への支援・参加】学校と家庭の連携事業

1. 学校と家庭の連携事業

連携の基本は、学校側にとっては、子供たちの家庭での教育についての考え方、実態を理解して学校での指導に生かすことであり、保護者にとっては、保護者の考え、要望を学校に伝えるとともに、学校側の指導方針を理解し、それに協力するということになろう。

連携の要として、PTAほど相応しい機関はない。
連携要請に応え、現在、PTAでは、自ら主催して、あるいは他の団体等と連携して、こどもの健全な育成に必要だと考えられる様々な事業を行っている。
家庭・地域と学校の連携充実のために、PTA連携活動の一層の活性化、実質化が期待されている。

(1)PTA 便りのユニークな工夫・活用

教員と保護者の相互理解に最もふつうの手段は、PTA広報紙であろう。
しかし、この実効性のある活用はなかなか難しい。
それぞれのPTA毎に工夫が必要である。

PTA によっては、担当の役員だけで作るのではなく、一般の会員の寄稿で誌面を作るもの、クラス役員と先生とが、学年ごとに毎学期、懇談会を実施し、その話し合いの結果などを基にPTA便りを作成・発行したり、家庭での教育についての実態や悩みなどをアンケートして集計し、さらに養護教諭がQ&Aの形でアドバイスを行ったりするものがある。

また、他校PTAとの情報交換、必要情報の迅速な入手と会員への伝達のため、インターネットでホームページを開設するところも出てきた。

(2)授業参観・学校公開

授業参観はもともと学校として行うものであるが、実際上、PTAとは密接に関わることであり、また、親と学校との関係を密にし、学校・教員の指導の実態を知る上で貴重な時間である。

親が学校を評価するチャンスになるし、中長期的には親の学校に対する信頼感を醸成していく上で、欠かすことができないものである。

最近は、なるべく親の都合に合わせて自由な参観ができるようにとの配慮から、指定の日なら朝から夕方までいつでも、また、保護者に限らず地域の人なら誰でも参観可能にするというところも出ているし、学校教育の公開の促進から、日時を限らず年中、いつでも参観可という学校もある。

PTA の働きかけにより、授業参観・学校そのものの公開性が一層高まるようにという方向へ進んできているように思われる。こうした傾向をいっそう強める必要がある。

(3)学校週5 日制への対応

学校週5日制は、平成4年9月に月1回実施の形で導入され、平成7年4月に月2回実施へと拡大され、平成9年には、西暦2002年の完全実施が決定された。
この趣旨は、子供の育成は、学校、家庭、地域社会が一体となって、バランスのとれた教育を施すことが大切であること、現在、ややもすると学校に教育の期待が偏りすぎる傾向があることなどから、学校での生活時間を短くして、家庭や地域社会での教育機能を高めて、学校と家庭・地域社会との連携を深め、子供たちに生きる力を養っていこうとするものである。

PTA の中には、学校週5日制の完全実施についてなお、慎重な態度をとる人々は少なくないが、一般的にはようやく理解が広くなされつつある状況といって良いと思われる。

また、学校週5日制に的確に対応した事業を実施するPTAも少なからず出てきている。
公民館や少年団の指導者や市民ボランティアの協力を得るなどして、親子でのキャンプ、遠足、スポーツ、料理教室、フェスティバル・お祭り事業や子供と年寄りの交流会など様々なものが計画され実施されている。

また、PTAの主催で、大学教員や高校教員・大学生などを講師に「子供のための科学実験教室」を行ったりするケースも見られるようになった。

現在、学校では、ゆとりの中で子供たちに「生きる力」を育成することが目指されている。 学校週5日制はまさにそのために行われるものであり、現在の教育改革が成功するか否かはまさに、家庭や地域での教育機能の向上とそれと学校との連携の正否にかかっている。
その面で、PTAの活動が教育改革の正否の重要な一端を担っているといえるのである。 それだけに、PTAの積極的な活動が特に期待されるといえる。

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