第4章 新しいPTA運動の発展を目指して
第4章 新しいPTA運動の発展を目指して

第2節 組織編成の見直し

(1)保護者全員の参加で

これまで、PTAの組織編成について絶えず議論になってきたのは、親の網羅的な機械的参加の在り方であった。
有志による自由な参加が、会としての自主的で活発な活動をもたらす源であるから、保護者全員参加制は廃止して、意識の高い人のみで再出発すべきとの論が常にあった。

しかし、現実に父母の全員参加という組織編成がほぼ完全に定着している現在においては、その議論は現実的とはいえない。
その場合、現実には、おそらくPTA自体の衰退につながることが予測される。 むしろ、参加形態よりも、参加後のPTA会員の意識の深まりのなさ、活動の不十分さの方を問題にすべきであろう。

多くの人々がPTAを通じて、何かを学び、考え、活動することの大切さをどう感じられるようにするのか、そのためにどのような活動を進めるのがいいのか、を検討することの方が重要である。
そのことが、当初のPTAの目的を実現するのには、最も確実な道ではなかろうか。

(2)教員の参加は

PTA の組織問題で最も深刻なのは教員の参加の問題ではないか。
PTA という言葉は、現実には親の集まり・団体という意味で使われていることが多い。
一般的に教員の参加はきわめて低調と言わざるを得ない。

しばしば教員側の実際の役割として出されるのが、親の委員が作成した広報紙などへの検閲的な介入の苦情であったりする。
勤務校のPTAへの加盟があらかじめ決められたことなら、教員にとってもPTAへの参加は、自由な意志に基づく、一般の社会教育団体への参加とは基本的に異ならざるを得ない。

一人の社会人として任意に参加するものになってない以上、しかも学校にとってPTA活動は不可欠に必要な団体であるとしたら、教員にとってはPTA参加を校務として位置づけ直し、教員のPTA参加を促進することを検討することも必要ではないだろうか。
教員とは別に、親だけで組織したらどうかとの意見もあるが、学校と家庭の連携・協力が子供にとって大切なことであるなら、他にない性格である親と教員による組織という点は外せないのではないか。

そこまでいかなくても、教員の意識改革を進める努力も必要である。
かって、社会教育審議会の分科会で提言されたように、教員の養成段階でのPTAにかかる教育の実施を是非もう一度検討のテーブルに載せることが必要である。

(3)地域の人々の参加への工夫を

当初のPTAは、親に限らずPTAの理念に賛同する地域の人々が広く参加することを前提としていたが、現実に定着したのは、地域の人々が参加しないという形であった。
PTA の活動を一層活性化させ、実効の挙がるものとするためには、PTA活動に理解と協力の意志のある地域の人々の参加を得ることは重要なことである。

今になっては、正規の会員として加盟してもらうことができにくいというのであれば、賛助会員、準会員などとして、あるいは特定の委員会の委員として、または外部のモニター役などとして多様な参加形態を工夫することも望まれる。

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