第1章 PTAの誕生と発展
第1章 PTAの誕生と発展

【第3節 PTA運動の主要課題】PTAに対する行政体制の整備

3. PTAに対する行政体制の整備

(1) 父母と先生の会分科審議会

昭和24年(1949)5月、文部省では「父母と先生の会委員会」の委員を改選するとともに、八つの部会

  1. 啓蒙宣伝部会、
  2. 連絡組識研究部会、
  3. 連絡調整部会、
  4. 財政経理部会、
  5. 両親部会、
  6. 良書選択部会、
  7. 不良化防止研究部会、
  8. 保健衛生部会

を設置して、審議することとした。

同年6月、社会教育法が公布され、PTAは同法の社会教育団体としての取り扱いを受けることとなった。
また、同年7月、文部省設置法公布に伴い「父母と先生の会委員会」は「社会教育審議会父母と先生の会分科審議会」と改称され、さらに、昭和29年(1954)6月には、父母と先生の会分科審議会が「成人教育分科審議会」へ発展的に統合された。
こうして、PTAに対する行政上の体制が整えられていった。

この間、文部省ではPTA担当の行政担当者の資質向上を図るため、昭和27年(1952)7月に3日間、京都嵐山で全国PTA事務担当者研究協議会を開催した。
また、昭和28年(1953)2月には、父母と先生の会分科審議会が、教員養成課程にPTA・両親教育を入れるべきことなどを建議している。

(2) PTA 第 2次参考規約

昭和29年(1954)3月、社会教育審議会父母と先生の会分科審議会は小学校「父母と先生の会」(PTA)参考規約を発表した。

PTAの目的については、父母と教員とが協力して、家庭と学校における児童、青少年の幸福な成長をはかること(3条)とし、活動として、

  • よい父母、教員となるように努める、
  • 家庭と学校との緊密な連絡によって児童青少年の生活を補導する、
  • 児童青少年の生活環境をよくする、
  • 公教育を充実するように努める、
  • 国際理解に努める ことが挙げられている。

教育を本旨とする民主団体と性格付けをした上で、その活動方針として、

  • 児童青少年の教育、福祉のための団体・機関とする、
  • 特定の政党や宗教にかたよることなく、もっぱら営利を目的とする行為は行わない、
  • PTAまたはPTA役員の名で公私の選挙の候補者を推薦しない、
  • 学校の人事その他には干渉しないと規定している。(5条)

会員については在籍する児童の父母またはこれに代わる人、校長・教員、PTAの趣旨に賛同する人(ただし、運営委員会が決定した者のみ該当)となっているほか、郡市・都道府県・全国の協議会の会員に関する規定も含まれている。

さらに、役員の選挙や総会・委員会などについては細則が別に規定された。

こうした規定を第一次参考規約と比べてみると、全体に条文の規定が簡潔に示され、より規約として整備された形になっている。

そのため、一方では、抽象的な記述ぶりになり、PTAの役割・活動内容が具体的にイメージしにくくなっているのも確かである。

一部の学者、ジャーナリスト、PTAからは行政による統制を強めるものとの反発もあった。

いわく、条文の簡素化により、PTA本来の趣旨が不明確になってしまった。

PTAの教育行政への関与規定を廃止し、教育財政確立への協力のみを規定することになっている。校長の学校管理上の発言力が強化されている。また、各学校PTA会員が全国組織へ自動的に参加することになる条文も必ずしも適当ではないと。

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